この記事は、筆者(Shirase)が構築した投資システムにおける「個人の検証記録(ログ)」であり、特定の銘柄への投資勧誘や金融商品取引法に基づく投資助言を目的としたものではありません。掲載されているコード、計算式、銘柄分析は、あくまで私の環境下での出力結果です。読者様の環境(資産状況)での動作(利益)を保証するものではありません。免責事項に関する詳細は「Risk Disclaimer」をご参照ください。
日々の運用、お疲れ様です。KABU STACKです。
2022年から個別株投資を始めて、早いもので4年近くが経とうとしています。
その中で、最近どうしても気になって、解消したい「指標の歪み」がありました。
それは、市場全体の動向を示すはずの日経平均株価やTOPIXといった代表的な指数が、一部の超大型銘柄や特定セクターの極端な値動きに大きく左右され、市場の実態を反映しなくなっているという問題です。
実際には値下がりしている銘柄が圧倒的に多いにもかかわらず、指数だけはそれほど下がっていないように見える――。
いわば、既存の指標が本来の役割を果たしていない状態です。
そこで今回、東証の3区分(プライム、スタンダード、グロース)と、それぞれの平均、そして全体の計4種の指標を新たに作り、市場全体の動きをフラットに反映するダッシュボードを自作しました。
今回の記事では、この指標を作った経緯と開発のプロセス、そこから見えてきた結果、そして公開にあたって直面した「利用規約の壁」について共有します。
1. 背景:半導体株の急騰が引き起こした「指標と実態のズレ」
きっかけは、2025年からの相場環境でした。
特にキオクシアHDやソフトバンクGといった時価総額の大きい特定の半導体・情報通信銘柄が株価を大きく上げて市場をけん引したため、既存の指数が実態を表さなくなってしまったのです。
しかし、私の手元にある個別株の状況を見てみると、全体的に軟調で値下がりしている銘柄が多い状態でした。
「指数は上がっているのに、手持ちの株の含み損が増えている」
――これは、既存の指数が時価総額の大きさに引っ張られてしまうという性質があるからです。
これでは市場全体の本当の動きを見誤ってしまいます。
「一部の巨大な銘柄の影響をなくし、上場しているすべての銘柄の動きをフラットに捉えたい」そう考えた私は、日本取引所グループ(JPX)が過去の株価データを無償で公開している「J-Quants」のAPIを利用して、自分で独自の東証3区分の動向を把握できるダッシュボードを作ることにしました。
2. 試したこと:J-Quants APIの採用と独自指標のロジック設計
① データソース:J-Quants APIの活用
J-Quantsは、日本取引所グループが公式に提供している株価情報の一次情報源です。
APIが公開されており、技術が分かる人にとっては非常にありがたい仕組みです。
今回は無償プランを利用しました。情報の鮮度は遅れますが、過去のデータを取得して検証するには十分な内容です。
② 独自指標のロジック設計
時価総額の大きさに左右されず、日次の株価に対して前日比で上下したかを市場区分ごとに独自に算出します。
今回は、2025年4月1日のインデックス値を「100」としてグラフ化しました。
例えば、プライム、スタンダード、グロース、そして3区分合計の4種を以下のような単純平均ロジックで算出します。
・銘柄A:前日1,000円の株価が翌日は1,500円に(50%上昇) ・銘柄B:前日1,000円の株価が翌日は900円に(10%下落) → 平均すると「20%の上昇」
さらに翌日も前日比の変化量を同様のロジックで計算し、これを「100」からのインデックスとして積み上げてグラフに落とし込みます。
この裏側の処理は、PHPを使って自動で回すバッチ処理を構築しました。
③ 使用した技術(APIエンドポイント)
銘柄マスターデータの取得と日次データ更新のために、以下のAPIエンドポイントを叩いています。
| 処理内容 | 使用エンドポイント |
|---|---|
| 銘柄マスター・市場区分の取得 | https://api.jquants.com/v2/equities/master |
| 日次の株価の取得 | https://api.jquants.com/v2/equities/bars/daily?date=$dateString※無償プランの制限に基づき、$dateStringには85日前の日付文字列を指定 |
3. 結果:可視化して見えてきた市場の本当の姿
蓄積されたデータから、非常に興味深い結果が出力されました(2025年4月1日=100とした場合の、1年後の各インデックス推移)。
127.7 %
+27.7% 上昇127.1 %
+27.1% 上昇114.4 %
+14.4% 上昇125.4 %
+25.4% 上昇作成したダッシュボードのグラフを見てみると、非常に面白いことが分かりました。
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東証は確かに上がっていた:
一部の大企業だけが上がっているのではないかと疑っていましたが、すべての銘柄をフラットに平均した結果でも、全体の指標は125.4まで上昇していました。
市場全体としても、この1年は底堅く上昇していたことがデータから確認できました。 -
スタンダードとプライムは波が非常によく似ている:
驚いたことに、グラフ上のスタンダード全体(127.1)とプライム全体(127.7)は、グラフ上の波の形が非常によく似ていることが分かりました。
異なる区分ですが、市場における動向のタイミングは強く連動しています。
一方で、グロース全体(114.4)は年末に大きな下落を経験するなど、独自の動きを見せていました。
4. 反省:立ちはだかる「利用規約」の壁
「このグラフは市場の実態がよく見えてとても参考になるので、ブログ上で自動更新しながら公開しよう」と考えていました。
しかし、J-Quantsの利用規約を細かく確認すると、規約違反になる可能性が浮上したのです。
そこで実際にサポートへ問い合わせてみたところ、以下のような回答をいただきました。
💬 J-Quants サポートからの回答:
「ご自身の分析結果や分析手法を公開いただくこと自体は差し差支えありませんが、分析結果を継続反復して第三者に提供・配信する行為は私的利用に該当しません。
今回ご案内いただいたダッシュボードは、日次で自動更新のうえブログ上で継続的に公開される構成とお見受けしますので、加工済みの指標のみを表示される場合であっても、個人向けJ-Quants APIの利用範囲外となります。」
とても残念ですが、自分で使うだけであれば問題ないものの、第三者への提供や繰り返しの配信は規約違反にあたるとのことでした。
そのため、このダッシュボードをブログ上で自動更新しながら継続公開することは断念し、今回は単発の結果共有という形に留めます。
5. まとめ:自分専用の判断指標として
残念ながら一般向けに自動更新の公開を続けることはできませんでしたが、私自身はこの結果を大変重要視しています。
日経平均やTOPIXと並ぶ市場全体の動向チェック用として、自分用のツールで大いに参考にしようと考えています。
もし、同じように既存の指数の見え方に違和感がある方は、同様の手法を試すことで自分だけのダッシュボードが実装できると思います。
興味のある方は、ぜひご自身で試してみてください。
インデックスの自作は、市場の構造を理解する上でも非常に有益なプロセスになります。