1. エントリー時の状況:初期設定

購入時のデータは以下の通りです。

  • 購入単価: 2,970円(現在の7分割換算で 約425円
  • 当時の分類: Satellite(サテライト枠)
  • 購入動機: 航空宇宙・防衛という「国策テーマ」への期待。

当初は「値上がりしたら売る」つもりで、サテライト枠(成長狙い)としてエントリーしました。
幸いなことに、購入後に大きな暴落はなく、順調に株価は上昇していきました。

2. 発生したバグ:「利確したい」という欲求

株価が上昇し、含み益が乗ってくると、投資家にはある心理的なバグが発生します。
「下がって利益が減るのが怖いから、今のうちに確定させたい」というプロスペクト理論に基づく感情です。

サテライト枠のルールのままでは、私もどこかのタイミング(例えば+50%時点など)で売却していたはずです。
しかし、私はここでシステムの見直し(リファクタリング)を行いました。

3. 設計変更:SatelliteからCoreへの「昇格」

事業内容を再評価した結果、IHIは単なる「値上がり期待株」ではなく、「私のポートフォリオのインフラ(Core)」になり得ると判断しました。

再評価のポイント(Code Review)

  • 代替不可能性: 航空エンジンや防衛装備品は、他社が参入できない強力な「堀(Moat)」がある。
  • 国策との合致: 日本の安全保障にとって、この会社がなくなることは許されない(Too Strategic to Fail)。
  • 時間軸の延長: 一過性のブームではなく、10年、20年単位で必要とされる事業である。

この再評価により、私はIHIのステータスを「売却して利益を得る株」から「永久保有して配当と成長を享受する株(Core)」へ書き換えました。
Core枠のルールは「原則売らない」です。この定義変更により、「いつ売ろうか」という悩み(ノイズ)自体を消滅させました。

4. 安全マージンの確保:圧倒的な低コストベース

持ち続けられるもう一つの理由は、「買値の低さ」という物理的なバッファです。
分割後換算で「425円」という取得単価は、現在の株価から見れば圧倒的な安全圏にあります。

  • 株価が半分になっても、まだ数倍の利益がある。
  • 取得単価ベースでの配当利回りは(現在の配当額をベースにすると)驚異的な数字になる。

この「数値的な余裕」が、日々の株価変動を無視できる「心のファイアウォール」として機能しています。

5. まとめ:握力とは「定義」である

「握力が強い(=長く持てる)」というのは、我慢強いということではありません。
その銘柄を「売る必要がない枠(Core)」に配置しているかどうか、ただそれだけの構造の問題です。

IHIの事例は、途中で設計図を修正し、適切なフォルダへ移動させたことで、結果的に大きなリターン(+300%超)につながった成功例と言えます。


成功事例の次は、失敗事例を直視しなければなりません。
次回は、同じ「資源・素材関連」でありながら、私のポートフォリオの汚点となってしまった「東邦亜鉛の失敗談」について、包み隠さず記録します。