1. 設計思想:マーチンゲールの否定
カジノの必勝法とされる「マーチンゲール法(負けたら倍賭け)」は、投資では通用しません。資金が指数関数的に増え、先にこちらの資金(スタック)がオーバーフローするからです。
私のナンピン計算式は、以下の2点を要件として設計されています。
- 価格(Interval): 下落が進むほど、次の購入までの「値幅」を広げる。(底なし沼での連打を防ぐ)
- 数量(Volume): 100株単位の制約の中で、資金枯渇を防ぎつつ平均単価を下げる「階段関数」を用いる。
2. アルゴリズムの仕様(Formula)
感情を排除するため、以下のロジックに基づいて機械的にエントリーポイントと株数を算出します。
📐 変数定義
P0: 初期購入価格Price: 直前の購入価格a: 固定下落率(例: 0.1 = 10%)b: 加速係数(例: 0.1 = 10%)
1. 価格決定ロジック(Dynamic Interval)
次のナンピンまでの下落幅(D)を、以下の式で動的に算出します。
D = (a × P0) + (P0 - Price) × b
意味:
「基本の下げ幅(固定)」に加えて、「現在の含み損幅(初期価格との乖離)に比例した距離」をさらに追加します。
つまり、株価が深堀りすればするほど、次のナンピンまでの距離が自動的に遠くなり、底なし沼での資金消費を抑制します。
2. 株数決定ロジック(Step Function)
単元株(100株)制度において、資金効率を最適化するため、株数は以下の「階段関数」で管理します。
Unit_Map = {1, 1, 2, 2, 3, 3...}
ルール:
初回・1回目は 100株(打診)
2回目・3回目は 200株(加重平均効果の発動)
4回目・5回目は 300株(深い下落での単価改善)
倍々ゲームによる破綻を防ぎつつ、深い位置で「厚く」買う制御を行います。
3. シミュレーション(実行結果)
このロジックを適用した場合の、取得単価の推移シミュレーションです。
(設定:株価1,000円スタート、固定率a=0.1、加速率b=0.1の場合)
| 回数 (n) | 約定価格 | 下落幅(D) | 購入株数 | 累計平均単価 |
|---|---|---|---|---|
| 初回 (0) | 1,000円 | - | 100株 | 1,000円 |
| 1回目 | 900円 | 100円 | 100株 | 950円 |
| 2回目 | 790円 | 110円 (加速開始) |
200株 | 870円 |
| 3回目 | 669円 | 121円 | 200株 | 803円 |
| 4回目 | 536円 | 133円 | 300株 | 714円 |
ポイント: 株価が1,000円から536円へとほぼ半値になっても、平均取得単価は714円まで下がります。
下落が進むほど「次の買いまでの距離(D)」が 100円→110円→121円→133円 と広がっている点に注目してください。これにより、暴落時の「早すぎるナンピン」をシステム的に防いでいます。
5. 運用ツール(JavaScript Calculator)
この計算を毎回電卓で行うのは現実的ではありません。
私は自作のJavaScriptツールで、「どこまで下がったら、いくら買うか」を事前に算出し、証券会社のアプリで「指値注文」を入れています。
6. 鉄の掟:撤退ライン(Exception)
この方程式にも「解」がない場合があります。それは「企業の前提条件が崩れた時」です。
不正会計、致命的な事故、ビジネスモデルの崩壊。
これらが起きた時は、計算式を無視して即座に損切りします。計算式はあくまで「正常な市場のゆらぎ」に対する処方箋であり、企業の死に対する蘇生措置ではないからです。