この記事は、筆者(Shirase)が構築した投資システムにおける「個人の検証記録(ログ)」であり、特定の銘柄への投資勧誘や金融商品取引法に基づく投資助言を目的としたものではありません。掲載されているコード、計算式、銘柄分析は、あくまで私の環境下での出力結果です。読者様の環境(資産状況)での動作(利益)を保証するものではありません。免責事項に関する詳細は「Risk Disclaimer」をご参照ください。
投資において最も重要な決断は、「何を買うか」ではなく「何を買わないか」です。
システム運用において、不正な通信やバグの温床となるデータを遮断する「ファイアウォール」が不可欠なように、投資でも損失につながる銘柄を入り口で弾くフィルタリングが必要です。
今回は、私の投資OSにおける「買わない条件(Deny Rules)」を定義します。
1. 定量フィルター:数値による自動却下
まずは感情が入る余地のない、数値上の足切りラインです。これを超えている銘柄は、原則として検討テーブルに載せません。
- 割高判定(PER): PER15倍以上は原則対象外。成長性を加味しても慎重に判断します。
- 過熱感(RSI/乖離率): 短期的に急騰している銘柄(イナゴタワー)には近寄らない。「押し目待ちに押し目なし」と言われますが、高値掴みこそが最大のダウンサイドリスクです。
2. ストレス・テスト:暴落時に「応援」できるか?
購入ボタンを押す前に、必ずシミュレーションを行います。
「明日、この銘柄の株価が50%暴落したら、自分はどう感じるか?」
※日本市場では実際にはそんなことはないですが。
「うわ、逃げたい」「損切りしなきゃ」
と焦る自分が想像できるなら、それは買っていけない銘柄です。
逆に、「半額セールだ、ラッキー!」と思って買い増しできる、あるいは「この会社の技術は世界に必要だから、株価がゼロになっても応援し続けたい」と思える銘柄だけが、コア・ポートフォリオに入る資格を持ちます。
中長期投資において、確信のない銘柄は、暴落時の狼狽売りという致命的な損失に繋がります。
3. リソース管理:値がさ株(単価が高い)の弊害
1単元(100株)買うのに100万円以上かかるような「値がさ株」も、コア枠としては基本的に買いません。
理由は「高いから買えない」ではなく、「資金管理の柔軟性(Agility)が失われるから」です。
- ボラティリティの影響: 単価が高いと、数%の値動きでポートフォリオ全体の評価額が大きく揺さぶられます。
- ナンピンの難易度: 私の戦略には「計画的なナンピン(買い下がり)」が含まれますが、単価が高いと追加投入資金が膨大になり、資金管理が破綻しやすくなります。
対策: どうしても欲しい大型値がさ株(ファーストリテイリングやキーエンスなど)は、小回りの利かないコア枠ではなく、サテライト枠でS株(単元未満株)を活用して少しずつ組み入れます。
4. ブラックボックス:理解不能なビジネス
「なんか凄そう」という雰囲気だけで、事業内容や収益構造が理解できない銘柄は買いません。
エンジニアが仕様の分からないライブラリを本番環境に組み込まないのと同じです。
自分の「能力の輪(Circle of Competence)」の外にある銘柄は、どんなに株価が上がっていてもノイズとして処理します。
他にも、自分の興味を惹かない銘柄も同じです。
四季報を読んでいてもつまらなかったり、調べても自分の知識の領域外にあるような銘柄は選ばないようにしています。
5. 「待つ」という実装(Idle State)
多くの投資家は「常に何かを買っていないと損」というポジポジ病にかかりがちです。
しかし、私のシステムでは「キャッシュ(現金)」も一つの重要なポジションと定義しています。
フィルタリング条件に引っかかり、買うものがない時はどうするか?
答えは「何もしない(Wait)」です。
現金比率を高めて暴落を待つことは、機会損失ではなく、最強のリスクヘッジです。待てる投資家だけが、市場の歪み(バーゲンセール)を拾うことができます。