1. システムアーキテクチャ:コア・サテライト戦略

私のポートフォリオは、単一のフラットな構造ではなく、役割の異なる2つのモジュール(機能群)に分離して管理しています。
これを混ぜてしまうと、リスク管理の計算が破綻するためです。
一般的にはこれを「コア・サテライト戦略」と呼んでいるそうです。

Module A: Core(守りの基盤)

  • 資金配分: ポートフォリオ全体の 60〜70%
  • 目的: インカムゲイン(配当・優待)による守りの構築。
  • 運用ルール: 原則として売却しない。含み損が出ても買い増しのチャンスと捉えられる銘柄のみを選定する。
  • 時間軸: 10年〜永久保有

Module B: Satellite(攻めの実験室)

  • 資金配分: ポートフォリオ全体の 30〜40%
  • 目的: キャピタルゲイン(値上がり益)による資産の加速。
  • 運用ルール: 配当金や売買益、余剰資金のみを投入する。「研究開発費」と割り切り、仮説が崩れれば損切りも厭わない。
  • 時間軸: 数週間〜数年(スイング〜中期)

2. 要件定義:「なってほしい未来」を描く(Vision)

銘柄選びの際、チャートの形(テクニカル)からは入りません。
「5年後、10年後の世界はどうなっているべきか?」というトップダウンの要件定義から、投資すべきセクターを絞り込みます。

私が現在注目している主な「未来の構造(ドメイン)」は以下の通りです。

  • エネルギー構造の変革: 水素、全固体電池、核融合(脱炭素への現実解)
  • 日本の社会課題解決: 介護、少子化対策、労働力不足解消(DX/ロボティクス)
  • 生存基盤と安全保障: 食料、農業、防衛、宇宙産業

ルールはシンプルです。「自分が想像できない未来」や「こうなってほしくない未来」には1円も投資しません。
チャートを見て、SNSを見て、闇雲に投資をしてもそれは運に左右されるだけになります。

3. フィルタリング条件(Spec)

ある程度セクターが選定できて、その中から「良さそうな銘柄」が見つかったら、次は感情を排除した定量的なテスト(フィルタリング)にかけます。
私のエントリー基準は以下の通りです。このテストをパスしない限り、原則として購入ボタンは押しません。
以下は特にCoreを買う際の基準としています。

項目 基準値(閾値) 意図
PER(株価収益率) 原則 15倍以内 過熱感のない割安圏か。成長株でも慎重に判断。
PBR(株価純資産倍率) 原則 1倍以内 解散価値割れの水準か。下値リスクの限定。
財務健全性 自己資本比率 30%以上
有利子負債比率 低位
金利上昇局面でも倒産リスクが低いか。
キャッシュフロー 営業CF +
投資CF -
財務CF -
本業で稼ぎ、将来へ投資し、借金を返している「健全型」か。
株主還元 配当利回り 3%以上
優待あり
株価が動かなくても保有し続けるモチベーションがあるか。
株主構成 経営基盤・株主構成に大きな懸念がないか。

4. 生成AI活用フロー:人間とAIの分業

全ての数値を手作業でチェックするのは非効率です。
銘柄の選定(Vision)は人間が行い、冷徹な評価(Review)はAIに任せます。以下は、私が実際に使用しているAI評価用のプロンプト(テンプレート)です。

ChatGPTやClaudeなどに、銘柄名や決算短信のテキストと一緒に投げかけてみてください。

▼ AI評価用プロンプト例(コピペ用)


あなたはプロの証券アナリスト兼厳格なリスクマネージャーです。
以下の【銘柄情報】に基づき、私の【投資基準】に照らして、この銘柄を評価してください。

【投資基準】
1. 投資スタイル:中長期保有(数年単位)。インカムゲイン重視だがキャピタルも狙いたい。
2. PER:原則15倍以下(割高は避ける)
3. PBR:原則1倍以下(資産バリュー重視)
4. 財務:自己資本比率30%以上、有利子負債は少ないこと
5. CF:営業CFがプラス、投資CFがマイナスであること(本業で稼ぎ投資しているか)
6. 還元:配当利回り3%以上、または魅力的な優待があるか
7. テーマ性:将来の社会課題(エネルギー、介護、防衛、食料等)に合致するか

【出力形式】
1. 総合評価ランク:S(即買い検討)、A(監視リスト入り)、B(保留)、C(対象外)
2. 基準適合チェック表(〇△×で判定)
3. プロの視点からの「懸念点・リスク」(辛口にお願いします)
4. 結論(投資家へのアドバイス)

【銘柄情報】
(ここに銘柄コードや企業名、または決算数値を入力)
            

5. 最終決定プロセス(Commit)

AIが「S判定」を出したとしても、最終的な決裁権(Commit)は人間が持ちます。
逆に、AIが「C判定(割高)」を出しても、数値には表れない強力な技術的優位性やストーリーがあれば、サテライト枠として採用することもあります。

そして最も重要なのは、「迷ったら買わない(No Action)」という選択肢を持つことです。
現金(キャッシュポジション)もまた、暴落時に最強の武器となる一つの「ポジション」だからです。


この設計図は固定されたものではなく、市場環境に合わせてバージョンアップ(Gitのように履歴管理)していきます。
次回の記事では、このルールを実際に適用した「売買スタイル」の実装詳細について解説します。